タイムカプセル原稿
2009 / 01 / 26 ( Mon )
 部屋を掃除したところ、中学時代に書いた文章が出てきた。当時傾倒していたタイムマシンもののSF短編小説で、或る雑誌の投稿用紙に書いたまま、結局出さなかったものだった。
 あれから三十年以上経った今、その文章をブログ上で公開させてもらう。なにぶん中学生の書いたものなので、文章にあらが目立ち、意味不明な部分もあるが、誤字や句読点などを修正した以外は、原文をそのまま写してみた。
 自分で言うのもなんだが、21世紀における犯罪についての描写は、なかなか鋭い未来予想では、と思うのだが...


『幸福商人』
 北野光一は、別に悪人でもなかった。ただ、気が短すぎたというのが欠点だったのかもしれない。しかも、常に目まぐるしく動く時代21世紀に生きた男だったので、人間性を失い、ただ他人に説教じみたことを言われただけで、人を殺すということをしてしまったのである。
 獄中の彼はじっと、空中をにらみつけ黙っていた。死刑の日は近づいていた。21世紀の世界は、大変な矛盾が通っていた。先程言った通り、21世紀の世界は、北野君の様な、欲求不満による殺人がふえ、人口は急激に減った。しかも犯罪防止のために、法律は変った。殺人者は死刑!!(但し、正当防衛は関係なし。)その他の犯罪、軽犯罪にも極端な裁きを用いた。さらに、殺人によっては、その死刑の方法も違ってきて、最悪の場合は、見る人が、思わず目をそむける様な方法をとった。しかし、これは逆効果であった。かえって人々の生活を縛りつけ、人々の間にはさらに暗い雲が広がった。それが、さらに又、犯罪を多くさせたのだった。おそらく、北野君は、そういった世の中にいる自分を考えて、悲しく思っていたのだろう。
 男は話し始めた。
「こんにちは、北野君、私は、幸福を売る男。現在のおちぶれは、過去の失敗。その失敗を無くして、今の時代を、幸福にする。タイムマシンによって。ククク・・・」
「な、なんだって」彼は驚き、男の方へ向きなおった。
「そう。私はタイムマシンで、過去の世界に戻り、あなたが殺人を犯す直前にそれを止めます。すると、あなたは罪をまぬがれます。もしも成功したなら、金はたっぷりもらいますよ。」
 彼はいかにもそれが信じられないという様子だったが、
「たのむ、おれの殺した奴は・・・」
「いいのです。日時と場所がわかっているから、だいじょうぶ」
 やがて、マントが黒い入れ物となり、男は中へ入ろうとする。
「ああ、そうそう、金をもらう時にめんどうですから、顔を覚えてもらいましょう。」
 といって、はずしたマスクの下にあった顔を見て、北野君は、あっと声を上げて驚いた。その顔は、数日前に彼が殺した男の顔だったから。
待ってくれ、君、君、行かないでくれたまえ。行かないことが僕を幸福にしてくれるんだ。待って。」
 おりにしがみついた彼の叫び声も聞かずに、男はブラックボックスの中へ入っていった。
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